男性不妊

男性不妊、クリニックと大学病院どっちがいい?大学医師が比較

大学病院で勤務する私、ドクターぬんが男性不妊の治療に関して、大学病院とクリニックを比較します。私は4月から人事異動で大学から出ますので、自分の外来の宣伝目的で書いているわけではありません。

結論から言いますと
基本的には大学病院がオススメ。
お金に余裕があり、「この先生なら信頼できる!」と思えればクリニックがいい。

本記事の内容は男性不妊に限った話です。
内科などでは少し事情が違います。

クリニック

メリット

  • 予約のとりやすさ、待ち時間の短さ
    自由診療のクリニックは料金が高い分、外来の枠に余裕を設けていることがあり時間的に余裕があるようです。値段は高くなる分、外来でじっくりと話しができる場合があります。不妊治療は精神的負担も大きく、人生を大きく変える可能性のある医療なので主治医に相談しやすい環境は何事にも代えがたいです。紹介状がなくても気軽に受診できます。
  • 夜間・休日にも営業している
    これは大きなメリットです。不妊治療は沢山のお金がかかるため、仕事はできるだけ休むわけにはいきません。大学病院はすべての診療科で外来の営業時間が一律ですが、クリニックは院長次第でフレキシブルです。仕事をしながら通えるのは大きなメリットです。
  • おもてなしの精神がある
    大学病院と異なり利益を出すために運営されている組織です。そのため、患者さんに満足して貰えるよう対応が丁寧なことが多いです。
  • 経験を積んだ1人の医師が一貫して治療を行う
    基本的に院長1人が診療するクリニックであれば、院長が最初から最後まで診てくれます。そのため良い医師にあたれば最高です。大学病院と比べて若手医師が少なく、ある程度経験を積んだ医師がいるのも利点です。
  • 新しい治療の導入が早い
    熱心なクリニックは新しい治療の導入が早いことがあります。例えば、女性の治療では着床前診断はクリニックの方が圧倒的に早かったです。しかし、あまり勉強しないクリニックよりは大学病院の方が治療がアップデートされています。男性不妊ではあまり差がないと思います。

デメリット

  • 治療の質にばらつきがある
    院長の腕=クリニックの質となります。院長が微妙な医師だと、治療の質がガクッと落ちます。開業すると経営に忙しく、学会活動など勉強の機会を持たなくなる医師もいます。そうなると、10年前の時代遅れな治療をまだ続けているかも知れません。相談できる同僚もいないので、間違った治療方針で突き進んでしまうリスクもあります。本当に野蛮な治療を行っているクリニックもあるとかないとか。
  • クリニックは営利組織
    研究を目的としている大学病院と異なり、クリニックは利益を生み出すことを目的としています。そのため、保険適応となっている検査・治療が自由診療であったり、価格設定が高かったりします。また、患者さんウケがいいからと、非科学的な治療を行うクリニックも残念ながらあります。

大学病院

メリット

  • 医師の平均レベルが高い
    凄い先生が開業されているケースもありますが、医師の平均レベルは大学病院の方が高いです。
  • 多くの医師がいる
    カンファレンスなどを通してお互いの治療方針を確認する(監視しあう?)システムがあります。そのため、独りよがりな治療が行いにくく、大間違いが起こりにくいです。男性不妊と一言で言っても、手術が得意な人、精液検査が得意な人、男性機能障害が得意な人と専門が様々です。複数の医師が知恵を出し合って治療します。
  • 最新の知識を更新している医師が多い
    論文を書いたり学会で勉強する機会が多いです。そのため、知識が新しくアップデートされていることが多いです。
  • 営利目的でない
    利益をあげることを目標としていないため、いい治療をすることだけに集中しています。儲かるからといって科学的根拠のない治療をすることもありませんし、価格も平均的です。例えば、東大病院の女性の不妊治療の価格は世の中の平均より少し高いぐらいです。保険適応のものは保険が使えます。
  • 婦人科も同じ施設内にあることが多い
    女性側の治療も同一施設内で行えるのは大きなメリットです。情報交換がしやすいため、無駄の少ない治療が行えます。

デメリット

  • 敷居が高い
    受診するには紹介状が必要で、何となく怖いイメージがあります。でも、意外と普通の人間です。写真とかで見ると怖そうですが。
  • 予約をとりにくい、待ち時間が長い
    ひと昔前よりは改善しているのですが、、、
  • 土日は休み、夜間は受診できない
    大学病院の医師は勤務医で、経営に関する発言権はゼロなので私たちも困ってます。しかし、男性不妊の外来通院は3か月に1回程度、手術も一生に一回なので女性の不妊治療ほど問題にならないです。
  • 新しい治療の導入が遅い
    十分な安全性が確認されるまでは(十分すぎるぐらい)新しい治療の導入が遅いです。国立大学より私立大学の方が動きが早いイメージです。しかし、裏返しですが、クリニックは十分な科学的根拠が確立されていないうちから、高額で患者さんに治療を提供していることもあります。また、男性不妊ではここ数年で大きな技術革新が起きているわけではないので、女性の不妊治療と違い、この点はあまり問題になりません
  • 外来・検査・入院・手術と毎回担当の医師が変わる
    組織が大きくなると仕方ないのですが、患者さんからすると嫌ですよね。もちろん、トレーニング中の若い医師も関わります。しかし、上司が厳しい目を光らせていますし本当に大切なところは若手にはやらせません。
  • おもてなしの精神がない
    いくら患者さんの満足度が高くても給料は上がりませんし、評価されません。個人差はありますが、クリニックの先生に比べると愛想がありません。経営者と雇われの意識の違いです。

結局どっちがいいの?

知り合いの医師からの紹介なく、自分で探して選ぶならば私は大学病院をオススメします。男性不妊は外来通院は3か月に1回程度、手術も基本的に一生に一回だけです。女性の不妊治療と異なり連日通院する必要はありません。そのため、予約・待ち時間・診療時間が多少あっても、安定した質の治療を受けられるところの方がいいと思います。できるだけ保険適応で治療が受けられるというのもいいです。

一方、「この人なら信頼できる!」という医師を見つけられ、経済的に余裕があればクリニックの方がいいです。凄腕の先生に診断か治療まで一貫して診てくれれば最高です。それが、なかなか見つからないんですよね。