男性不妊

不妊治療が男性にも必要な3つの理由ー男女2人ではじめる

まず言わせてください、
不妊治療は男女2人で同時に始めましょう!

「不妊症は女性の病気」というイメージがあると思います。しかし、実際には不妊の原因は男女半々です。不妊症は1人1人の病気ではなく、カップル単位の病気です。なので女性だけが治療を受けて男性が治療を受けないと、原因の半分が放置されてしまいます。妊娠できる可能性も低下しますし、仮に妊娠できても治療効率が悪く、時間も費用も余計にかかってしまいます本記事では、男性も不妊治療を受けた方がいい4つの理由についてまとめました。

不妊の原因の半分は男性にある

WHOのデータによると不妊症の25%に男性に原因があり、25%に男女両方に原因を認めるとのことです。つまり、不妊症のうち50%は男性に原因があるということになります。

昔の日本では不妊症は女性だけに原因があると考えられていました。結婚して3年子供ができないと「石女(うまずめ)」と言われ、離婚されても仕方ないとされていました。

男性不妊は現代になって表れた新しい病気ではありません。実は、かの有名な豊臣秀吉が男性不妊であった説があります。女好きで数十人の側室を抱えていた秀吉ですが、子供は3人しかいません。精子の数が少ない乏精子症だったのかも知れません。淀の方(妻)が石田光成と不倫をしてできた子供という説もあるので、その場合は精子が全く作られない無精子症だった可能性もあります。

このように日本男児は不妊の原因を女性に押し付けてきました。海外では不妊治療の保険適応や助成金の支給の条件に「男性も不妊症の検査を受けていること」という条件があるぐらいで、その意味で日本の不妊治療は遅れています。

男性の不妊症も治療できる

ネットの情報などで「男性不妊は治療法がない」などと偽の情報が多く出回っています。しかし、男性不妊にも治療法が存在します。以下では治療の効果が特に高い3つの疾患について説明します。

精索静脈瘤

代表的な疾患に精索静脈瘤があります。精巣の上にコリっとしたシコリある静脈の異常です。男性の6人に1人が持つ病気であり、男性不妊患者の40%にあります。血流が悪くなることで精巣の温度が上昇したり、酸化ストレスが加わることで精子力が低下します。手術を行うことで約70%の患者さんの精液検査の結果が改善し、妊娠率が上昇、流産率が低下することが明らかになっています。

低ゴナドトロピン性性腺機能低下症

また、精巣に精子を作るよう指令を送る脳のホルモンが低下することで起こる男性不妊です。低ゴナドトロピン性性腺機能低下症と呼ばれますが、ホルモンを補充することで80%以上の患者さんが改善します。

 閉塞性無精子症

精巣で精子が作られているが、精子の通り道が塞がっているために射出精液中に精子が出てこない病気です。過去の鼠経ヘルニア(脱腸)や精巣周囲の手術、前立腺炎、精巣上体炎などが原因となります。精子の通り道を作り直す精路再建術が有効です。精路再建術が難しい状況でも、手術で精巣から直接精子を取り出してくる精巣内精子回収術(tese手術)でほぼ100%精子を回収することができますtese手術で得られた精子を顕微授精(顕微鏡を使って人の手で精子を卵子の中に注入する)を行えば妊娠できます

男性が不妊治療を受けるメリット

「男性が不妊治療を受けなくても、体外受精や顕微授精を行えば問題なくないですか?」よくある質問ですが、それは間違いです。

 一般的に不妊治療はタイミング法→人工授精→体外受精→顕微授精と一方通行でステップアップするものと考えらています。しかし、男性不妊治療を受けることによってステップダウン(軽いものに戻る)できる可能性があります。治療がよく効いた場合には自然妊娠が可能になることもあります。自然妊娠が可能になれば、不妊治療自体が不要になります。女性ばかりが治療を受けて、治療可能な男性不妊を放置するのは、非常にもったいないです。それによる大きなメリットを2つ紹介いたします。

女性の負担を軽減できる

女性の不妊治療は、診察台で大きく足を広げ、針を刺したり、器具を挿入されたりと、精神的・身体的に繰り返しの苦痛を伴います。連日ホルモン注射のために通院が必要だったり、突然の通院が必要なことも多く、仕事との両立が困難です。厚生労働省の調べによりと不妊治療を受ける女性の16%が退職しています。

一方、男性の不妊症の検査は痛いのは採血だけですし、手術も基本的に一生に一回受ければ終わります。男性だけに不妊原因がある場合には、女性はそれ以上不妊治療を受ける必要がなります。実男性側の精子の問題で不妊なのに関わらず、女性だけが不妊治療クリニックに通院し続けるケースが多いのです。

 男性が不妊治療を受けることで、治療にかかる時間が大幅に短くなり、女性の治療負担が大幅に軽減する可能性があります。

 不妊治療全体にかかる時間と費用を節約できる 

不妊治療は健康保険が使えず、高度なものほど高額で体外受精・顕微授精には1回50-100万円かかり、複数回繰り返すことがしばしば。男性不妊治療を受けることで大きな費用の節約になります。当然治療期間も短くなります。精索静脈瘤に対する手術は、2018年に最先端の顕微鏡下低位結紮術が保険適応となり、自己負担10万円以下で治療ができます。さらに、不妊治療全体の費用を下げるという科学的データも発表されました。

まずは男性不妊外来へ

まずは男性不妊専門外来に行きましょう。精索静脈瘤・低ゴナドトロピン性性腺機能低下症・閉塞性無精子症などの診断には精液検査の他に超音波検査やホルモン検査が必要です。精液検査は婦人科でも可能ですが、超音波検査やホルモン検査は産婦人科の専門外です。産婦人科の専門は女性で、男性を専門とするのは泌尿器科です。

泌尿器科ならどこでも良いわけではありません。大半の泌尿器科医は精液検査すらまともにやった経験がありません。「不妊治療を専門にしている」泌尿器科医を受診する必要があります。

泌尿器科と聞くと痛い検査をされるイメージがあるかもしれませんが、男性不妊の診断には痛みを伴う検査が基本的にありません。ホルモン検査のための採血が少し痛いぐらいです。奥様が受けている内診に比べれば蚊に刺された程度です。不妊治療を開始して奥様が不妊治療クリニックを受診する際には、同時にご主人は男性不妊外来で検査を受けましょう。

まとめ

・不妊症の原因の半分は男性にある

・男性不妊症も治療できる

・男性が不妊治療を受けるメリット

1, 女性の負担を軽減できる

2, 不妊治療全体にかかる時間と費用を節約できる

・まずは男性不妊外来へ