男性不妊

無精子症でも妊娠できる!?治療の種類、費用、成功率を紹介。

無精子症は男性不妊の中でも最も重症です。射出した精液の中に精子が全く認めない状態です。当然、治療をせずに自然妊娠することは不可能で、ひと昔前は、第三者精子提供か養子縁組でしか子供を持つことができませんでした。しかし、医学の発展とともに無精子症と診断されても妊娠するための手術が開発されました。無精子症と診断されても、適切な治療を行えば血のつながった子供を持てる可能性があります。

どこで治療を受ければいいか?

無精子症の治療は男性不妊の専門外来で受けましょう。産婦人科でも扱っているクリニックはありますが、産婦人科医の専門は女性が専門であるために男性については専門外です。精液検査の結果が少し悪いだけの場合の人工授精ぐらいであれば、男性不妊外来を受診せずに、産婦人科だけでの治療でもいいですが(オススメはしません)、男性不妊の最重症である無精子症は男性が専門の泌尿器科医と治療を行う必要があります。日本にはクリニックの看板を掲げるのに法的な制限がないため、専門的なトレーニングを受けた経験を受けたことがほとんどなくても、男性不妊の専門外来の看板を出すことができます。そのため、残念ながら自己流の質の低いtese手術(後ほど紹介する無精子症の手術)を行っている産婦人科クリニックがいくつかあります。

まずは専門外来で精液検査をやり直す

精液検査はWHOマニュアルというものに沿って行われますが、非常にページ数が多いうえに分かりにくいです。また、正しくやると非常に手間がかかる上に保険診療では自己負担が1200円と非常に安いです。保険適応で沢山の精液検査を行っていてはクリニックは赤字で倒産してしまいます。そのため、多くの医療機関では簡易的な精液検査を行っています。例えば、本来精液検査は精液全体を観察しなければならないのですが、男性不妊の専門外来でないと精液のごく一部しか観察していないことがあります。たまたま見た場所に精子がいなければ無精子症と診断されてしまいますが、正しい検査を行ってみると元気な精子が沢山いたということも、よくある話です。専門外来での精液検査は自由診療で2万円ほどと高額ですが、治療方針をしっかりと決めるためにも、まず受けることをオススメします。無精子症の診断が正しいか確かめる必要があるのです。

精密検査で2つにタイプ分類

無精子症であることが確定したら、超音波検査・ホルモン検査を追加し無精子症をタイプ分類します。無精子症は以下の二つのタイプに分類されます。

閉塞性無精子症

精子の生産工場である精巣で精子は作られているものの、精子の通り道が閉塞しているために精子が精液中に出てこないタイプです。原因としては、過去に鼠経ヘルニア(脱腸)・パイプカットの手術を受けたことがある、精管が生まれながらにない、性病などの炎症により精巣上体に炎症があるなどです。

非閉塞性無精子症

無精子症の中でも特に最重症のタイプです。閉塞性無精子症とは異なり、精子がうまく作れない病気です。染色体異常や停留精巣などのが原因なりますが、半数以上が原因不明です。

治療法、費用、成功率

内服だけで奇跡の自然妊娠をしたという話も聞かなくはないですが、もはや都市伝説レベルです。無精子症は基本的に手術で治療を行わなければ妊娠することはできません。無精子症のタイプごとに必要な手術の特徴と費用、成功率について紹介します。

閉塞性無精子症

代表的な手術が2通りあります。他にもMESAなどのマイナーな手術方法もありますが、現在は主流でないので割愛します。

  • 精路再建術
    その名の通り精路=精子の通り道を、再建=作り直す手術です。精子の通り道である精管や精巣上体の閉塞している部分を切り取って、正常な部分同士を縫合しなおす方法です。顕微鏡下で、髪の毛より細い糸を使って縫合するので非常に高い技術が要求されます。日本で執刀できる医師は数人しかいません。そのため、男性不妊の専門外来でも選択肢として提示されることすらないかも知れませんが、本来閉塞性無精子症に対してはまず最初に検討されるべき手術です。 

    約60%で術後半年以降に精液中に精子が出現し、20%が自然妊娠できます。以下のtese手術+顕微授精での妊娠率は20%とだいたい同じ数字です。しかし、顕微授精を行うためには女性の体に針を刺して卵子を取り、体外で受精させた後に女性の体に移植する必要があります。ホルモン剤投与による体調の変化も起こりますし、採卵・移植は痛みが伴います。1回の治療費が50-100万円ほどかかり何度も行わなければ妊娠できないことが多いです。また、精路再建術がうまくいき自然妊娠できれば、二人目三人目は不妊治療なしで自然妊娠が可能です。パイプカット手術後は保険適応でなく自費診療なので50-150万円程度です。(入院するか日帰りかなどの違い)その他の原因であれば、保険適応で自己負担は20万円程度です。同時に以下のteseを行うこともできます。

  • conventional tese(精巣内精子回収術)
    精巣を切り開いて、精子がいる精細管という部位を取り出してくる手術です。精路再建に比べて簡便なので広く行われています。精路再建術での自然妊娠は最低でも半年以上かかるため、女性が高齢の場合など時間的余裕がない場合に有利な方法です。閉塞性無精子症ではほぼ100%の可能性で精子を回収することができます。その後、顕微授精によって妊娠を目指します。保険適応外なので自費診療で20万円程度です。加えて精子の凍結保存に年間2万円ほどかかります。

非閉塞性無精子症

  • MD-tese(顕微鏡下精巣内精子回収術)
    精子がうまく作れていなくても、精巣の一部の場所では精子が作られている可能性があります。精子は精細管という場所にいます。顕微鏡で精子がいそうな精細管を見つけ出して精子を探します。精子が回収できる可能性は40%ぐらいです。その後、顕微授精によって妊娠を目指します。保険適応外なので自費診療で40万円程度です。加えて精子の凍結保存に年間2万円ほどかかります。

まとめ

無精子症と診断されたらまず男性不妊の専門外来を受診しましょう。そして、無精子症の診断が正しいかを確定するために、正しい精液検査を受けましょう。無精子症が確定したら、精密検査をもとに閉塞性なのか、非閉塞性なのか分類し、治療を行います。閉塞性であればほぼ100%、非閉塞性でも40%ほど精子を回収できます。そのため、無精子症と診断されても諦めずに、専門医と一緒に治療に取り組んでいく必要があります。