男性不妊

精索静脈瘤は手術で治る。保険適応で不妊治療を効率化。

結論から言いますと
精索静脈瘤は手術が必要
2018年から最先端の顕微鏡下低位結紮術が保険適応に
体外受精・顕微授精の成功率を上げる
不妊治療全体の費用を節約できる

精索静脈瘤とは?

男性の6人に1人ある精巣の上のコリっとしたシコリです。精巣周囲に違和感・鈍い痛みを感じる人もいますが、基本的に自覚症状はありません。男性不妊の原因の30%も占める代表的な疾患です。静脈が瘤状であるために、血流が悪くなり、精巣の温度が上昇したり、DNA損傷率が高まることで精液検査の結果が悪くなったり、妊娠率が低下してしまいます。精巣へのダメージは時間とともに蓄積していき加齢とともに、精子力が低下してしまいます。そのため、人目は大丈夫だったけど、二人目ができない二人目不妊の原因の78%も占めます。男性不妊の中では手術による治療効果の高い疾患なので、不妊治療の初期に検査を受けて治療を開始してもらいたいです。

精索静脈瘤の症状についてもっと知りたい人は下記リンクもご参照ください。
左の精巣(金玉)にシコリがあって痛い。精索静脈瘤の疑いです。
二人目妊活がうまくいかない。二人目不妊の原因は男の精索静脈瘤?

薬ではだめですか?

コエンザイムQ10やビタミンC, Eなどの抗酸化剤や漢方が処方されることがあります。しかし、劇的な効果は期待できないため、手術をオススメします。

手術の方法はどれがいい?

精索静脈瘤の手術には様々な種類があります。使う器具の違いにより、顕微鏡手術・腹腔鏡手術・経皮的塞栓術があります。また、手術を行う位置により、高位結紮術・低位結紮術があります。結論としては、顕微鏡下低位結紮術がオススメです。(左右両方にある場合には腹腔鏡手術を推奨されることもあります。)腹腔鏡手術や高位結紮術は簡単な手術ですが、合併症や再発率が高く効果があまり高くありません。顕微鏡を使うことで、微細な手術ができ、低位で手術を行うことで残すべき神経・血管・リンパ管を温存しつつ、必要な血管だけを処理することができます。結果として、合併症や再発の少なく、効果が高い手術となります。傷は3cm程度と小さく陰毛に隠れますし、術後の痛みも少なくてすみます。

顕微鏡下低位結紮術

手術時間は?

片方なら1時間、両方なら2時間程度です。

保険は使えるの?日帰りと入院どっち?

2018年から保険適応になり、自己負担8万円程度で受けることができます。病院によりパジャマ代などが異なるので、少し費用が異なります。非常に高度な技術が必要な手術であるのにも関わらず保険点数が低いので、日帰り手術では病院側の採算が合いません。そのため、日帰り手術は保険適応外20万円程度、1-2泊なら入院費含めて15万円程度としている病院が多い印象です。日帰り手術は時間がお手軽な印象ですが、入院しておけば麻酔がきれた後に痛み止めを調整したり、合併症が起こらない注意深く観察できるので入院もいいと思います。女性の不妊治療と異なり、基本的に一生に一回しか受けないかつ人生を大きく変える可能性のある手術なので、慎重にやってもいいと思います。

麻酔方法は?痛くないの?

入院で行う場合には全身麻酔で行う場合もありますし、日帰り手術なら局所麻酔です。全身麻酔の方が、手術中に確実に痛くないですが、術後に気持ち悪さなど不快感など感じることがあります。局所麻酔は効き目に個人差がありますし、術者の技量により痛みは変わってきます。癌などの開腹手術ほどではないですが、手術なので術後は2-3日痛いです。痛み止めが処方されるます。

術後はどんな生活を送ればいい?

手術当日は安静です。翌日から力仕事でなければ仕事ができます。1週間はシャワーのみで、傷をチェックして問題なければ入浴できます。大きな力が必要な運動は2週間程度はさけましょう。このあたりの方針は執刀医の先生のよって方針が異なるので、先生の指示に従っていただければ問題ありません。

治療の効果はどれぐらい?

 70%以上の確率で精液検査の結果が改善します。無精子症レベルでも改善して自然妊娠することがあります。精液検査の改善には半年ほどかかります。「どうせ体外受精をやるなら精索静脈瘤の手術は必要ない」と言う不妊治療クリニックの先生がいますが、これは間違いです。術後3か月たつと体外受精や顕微授精の成功率が上昇します。また、顕微授精の妊娠率を1.8倍、流産率を半分以下に改善するという報告もあります。また、精索静脈瘤手術を受けることで、体外受精を含む不妊治療全体にかかる費用が安くなるという科学的データもあります。

合併症や再発はどれぐらい起こる?

陰嚢水腫(水がたまる)、出血などの合併症が1%ぐらいの確率で起こります。再発率も1%程度です。

結局は執刀医の腕次第

上記の治療効果や合併症・再発率はあくまで世の中の平均値です。外科医にも技量の差があります。顕微鏡下低結紮術は高い技術が必要な手術なので、執刀医の腕次第で治療結果が変わってきます。いい執刀医の選び方についてもっと知りたい方は下記リンクまで。
手術の執刀医を選ぶ失敗しない方法6選。人生を託せますか?

まずは男性不妊外来で検査を

精索静脈瘤手術は1回の治療で不妊治療の成功率を上げ、全体の治療費を抑える効果があります。できるだけ早期に治療を行うことが大切です。

・不妊治療を開始するとき
・精液検査の結果が悪かったとき
・精巣の上にシコリが触れたとき
・痛みがあるとき

には一度男性不妊外来を受診して検査の上、手術適応があるか相談してみましょう。